* Story of Psyche *














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昔ある国の王に、とても美しい3人の姉妹がいました。

とりわけ末の娘 プシュケの美しさは格別で、
まるで 『女神』 と称えられるほど、
美を司る女神 アフロディーテ(=ヴィーナス)に勝るほどだと
評判になりました。

そんなプシュケの美しさは王と王妃の自慢の種で、
ある時王妃は自慢のあまり
『おほほほ、末のプシュケはアフロディーテよりも美しくてよ♪』
…と口が滑ってしまいます。

また隣の国の者たちは、そんな世にも美しい彼女を一目見ようと、
神聖なアフロディーテ神殿へ捧げていた供物を取り下げてまで、
それを旅費にしてしまうありさまでした。


それを天から見ていたアフロディーテは、
んまーまーまー 
/ps その美貌に嫉妬するやら、下界の民の侮辱に怒り狂うやら…
それはそれは大変なものでした。
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我慢ならないアフロディーテは
息子のエロス(=キューピッド)にこう命じるのです。


これ エロス!
プシュケが世にも醜い下劣な豚男と恋に落ちるように、
例の弓矢で一発射抜いてらっしゃい!

ぇえええい! 何をしておるっ。 早く行くのじゃ!!




ママンが怖いエロスは、
命じられるままに、
『よーし。眠っている間に射ってしまおう。』 …と、
夜中にこっそりプシュケの寝ている部屋に忍び込みました。


ところが…

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眠っているプシュケを見てエロスはビックリ。


うわっ。

思いっきり好みじゃん♪
な〜〜〜〜んて カワイイ女性なんだ…!! 



矢を放つことをすっかり忘れ、
プシュケの美しさに見惚れてしまいました。

そんな中、
ふとプシュケが目を開けてしまったその時


イタッ!

動揺のあまり、エロスは慌てて恋の矢先で
自分自身を傷つけてしまったのです。

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すると どうでしょう。


あれ?  あれれれ…?

   ホワン ホワン ホワン ホワン
 
         ホワワワワワ〜〜〜〜〜〜ン



その途端、エロスの胸には
恋心とトキメキの波が怒涛のごとく…

さーーーっすがキューピットの矢。
たとえ操る本人であったとしても、それはそれは効果絶大!!


こうしてエロスはプシュケの虜になってしまったのでした。



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その頃、
怒りの冷めやらぬ 『愛と美の女神』アフロディーテは、


『美』を享受したあげく、

この神である私に
よ〜く〜も〜 ここまで酷い想いをさせてくれたものだ!

おまえなんぞには

『愛』までもは  決して 決して 恵ませぬぅぅ…!



と、プシュケから 『愛』を奪ってしまうのでした。

それ以来、
プシュケに結婚を申し込む男はいなくなってしまったのです。


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さて、そんなことになっているとは人間界ではつゆ知らず。
美人3姉妹の上の2人は次々他国の王の元に嫁いでいったと言うのに、
どういう訳だか誰よりも美しいプシュケにだけは浮いた話がとんとない。

心配になった父王は、

『 うーむ… 
 こりゃおかしい…
 こうなれば、神託をお伺いするほかないだろう。』

…と、太陽の神 アポロン にお伺いに行きました。


するとどうでしょう!
こともあろうに、とんでもない神託を授かったのです。


おまえの娘は人間とは結婚できなーーーい。
すぐに生け贄にするのであーーーーーーーーーる。

娘に花嫁衣裳を着せて高い山の頂上に置き去りにせよ。
彼女の夫となるのは死を知らず、
ゼウスですら恐れおののく世界の支配…者…

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その神託を受けて、王も王妃も深く嘆きました。
怪物の生け贄に捧げなければならないなんて…。
この上なく大切にしてきた可愛い末娘を泣く泣く岩山の頂へと連れて行き、
ひとり置き去りにして帰っていくのでした。


花嫁衣装を身に纏ったプシュケは、
得体の知れない夫が来るのを待ちました。


いったい私はどうなってしまうのでしょう…。


不安で不安で胸が押しつぶされそうなプシュケ。
恐怖に身体が震え、自然と涙が頬を伝い落ちます。

泣き崩れたプシュケがぼんやりしていると、
彼女の身体は突然西風の神ゼピュロスによって持ち上げられました。


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そして、ふわりと運ばれたプシュケの体がそっと下ろされた所は、
深い森の中にある美しく花が咲き乱れる園。
その先には、この世のものかと疑うほど
美しく豪華な宮殿が見えたのでした。


どうしてこんなところにお城が…?


プシュケは恐る恐るその宮殿に足を踏み入れました。

中は美しい花々で飾られ、
そこかしこに豪華な宝石が散りばめられ、
見て回るどこもかしこも輝く美しさに満ち満ちていました。


まあ! なんて美しい宮殿なの…!


感動のあまり、思わずプシュケは溜息を漏らします。
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奥へ奥へと進むと、そこには豪勢なご馳走の数々が
まるで彼女を待っていたかのように用意されていたのでした。


さあ、これはみ〜んな君の為のものだよ。
ここで自由に暮らすがよい。



姿が見えない不思議な声に、
プシュケは不安を感じながらもくつろぎました。

その後も、
姿の見えない召使いたちが、おやつも、飲み物も、お風呂も、なにもかも…
プシュケの身の回りの世話をしてくれます。

だんだんと、美しく快適な空間に
プシュケのココロは和らぎ、元気を取り戻していきました。


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ですが、やがて夜も更けてくると、
さすがに不安と心細さがプシュケに襲いかかってきました。
あたりがすっかり真っ暗になり、何も見えず、
たった一人の寂しさに再び泣いていたその時…


だれ!?


プシュケは何かの気配を感じました。

主人が帰ってきたのです。
真っ暗でその姿は全然見えないけれど…。


愛しいプシュケ…
         僕は君の夫だよ。



プシュケはやさしく抱きしめられました。

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君を心から愛している。


主人はプシュケにそう囁きます。

そして、人間であるプシュケに
自分の正体を明かすことはできない神・エロスは、
こう続けました。


プシュケ、君はここで僕と一緒にずっと暮らしていいんだよ。
でも…1つだけ大切な決まりがあるんだ。

絶対に、絶対に、僕の姿を見てはいけないよ。



彼女は、怖いと思いながらも 
はい。
と返事をするしかありませんでした。


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次の日も次の日も、夜になるとプシュケの元を訪れては、
暗闇にまぎれながらプシュケと愛し合い、朝には姿を消してしまいます。
姿こそ見せないけれども、この上なく優しく大切に接してくれる主に、
プシュケはだんだん心を開いていきました。

プシュケは時々主にお願いをするのです。


どうか帰らないで、お姿をお見せください。


けれど、その度に主はこう言うのでした。


どうして僕を見たいのだ。
僕の愛に、疑いでもあるのか?

僕はただ、おまえに愛してもらいたいのだ。
僕は神として崇められるより、
ただのおまえの夫として愛してもらいたいだけなんだ。


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月日も流れ、だんだんプシュケはここの暮らしに慣れてきました。
何不自由なく、贅沢そのもの・幸せそのものの中、楽しく過ごしていました。

ですが、
しばらくすると

私がこうしていることを、お父様、お母様達はご存じないのだわ。
きっと今でも悲嘆に暮れているに違いないのに、
私だけのほほんと暮らしているのは、なんて申し訳ないこと…。


ふと思い出したプシュケは、
だんだんと気が重くなってきてしまいました。


そこである晩、プシュケは夫に、

せめて姉達だけでも宮殿に呼ばせてください。
様子を見て安心していただきたいの


…とお願いしたのでした。
プシュケの頼みに、夫は渋々ながら招待を許しました。

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恐ろしい怪物の妻になって不幸のどん底にいるに違いない…と、
すっかり思い込んでいた2人の姉は、
プシュケの無事な姿を見て喜びます。

ですが、プシュケの生活は
姉達が想像し、哀れんでいたものとは大違い。
自分たちの生活とは比べものにならないくらい贅沢なものでした。


『苦労してると思いきや、なによ、そんなに楽しんで…!』


美しさでプシュケには勝てなかった2人の姉達は、
今の生活ぶりまでもが私達より良いなんて…と
哀れみなんてどこへやら。
だんだんとプシュケが嫉ましくなってきてしまいました。



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『ねぇ、プシュケ、あなたのご主人はどんな人なの?』

…と姉の1人が聞いても、
プシュケはなかなか言いません。
あの手この手で突っ込んでくる姉達の探りをかわしきれなくなった時、

実は… 見たことがないから知らないの。

プシュケはとうとう白状してしまいます。


『 ええ!? そんなの変よ!
 そんなの愛とは言えないわ。
 まさかあなた… 信じちゃっているの?愚かしい!

 見せないのには、きっと恐ろしい秘密があるからに違いないわ。

 プシュケ、お気をつけなさい、今は優しくしておいて
 いずれあなたのことを食べちゃうかもしれなくてよーー!!』



妬む姉達は、ここぞ!とばかりにそそのかし、
プシュケに不信感を抱かせるのでありました。
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そう聞けば、
どうしても気になっちゃうのが人の常。

そんな事ないわ!
あの人は… あの人はとっても良い人だもの!


…そう思ったプシュケではありましたが、
姉達の次々に投げかける言葉に心の底では不安になっていきました。


うん… でも…
姿は見せない上に、夜にしか現れないのだから
お姉様達の言うことも…。


とうとう、とうとう、我慢できなくなったプシュケは、
夫とのたった1つしかない約束を破って
その夜、いつものように帰ってきた主を、一大決心と共に迎えたのでした。

いつものように主が眠ってから、
プシュケはそーーーっと彼の姿を見ようと灯火を照らして近づきました。

すると…
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彼女が目にしたものは
怪物どころか、それはそれは輝くような美しい青年だったのです。
背中に羽根がはえているのを除けば…
でも、いつも抱かれる頃には夢心地にされていたので
羽根のことなど気付きもせず。

純白の翼をもつ光り輝く美青年 ― まぎれもない、それは…。


まさか、私の夫が… 
     私の夫が… あの愛の神エロスだったなんて…!!



思わず ハッとしたプシュケ。

その拍子に、プシュケのもつ灯火から
一滴の油がこぼれてエロスの肩にかかってしまいました。


!!

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その熱さに驚いて、目を覚ましたエロスの顔には、
ただただ、約束を破ってしまったプシュケに対する絶望と
深い悲しみの表情がありました。


きみを愛しているのを信じてもらえなかったのか…



お願い!行かないで! 
         あなたを… あなたを愛してるの!


プシュケの必死の叫びにも振り返ることなく、
エロスは消え去っていきました。


疑うココロと愛とは相容れないんだよ


…そう言い残して。
その後、二度とプシュケの元を訪れることはありませんでした。
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愛の神を夫にしながらも
自分の軽はずみな不信からエロスを失ったプシュケは
深い深い悲しみに落ちました。

ですが、プシュケはすぐに気を取り直し、固く決心するのです。


私の今後の一生は
エロスを探し出し、エロスを取り戻す為にあろう。

もし仮に私に対する愛情がほんの少しも残っていなかったとしても、
私がどんなにエロスを愛していたかという気持ちだけは伝えよう。



…そう心に決め、
その日からプシュケはエロスを捜す旅に出たのでした。



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旅の途中、プシュケは姉の一人の住んでいる国にたどり着きました。


それは大変だったわねぇ。
でも、きっともう一度しあわせになれるわ。頑張ってね!



姉に事情を話すと、姉はプシュケを慰め、励ましてくれました。

ところが、それは単なる上っ面。
プシュケがいなくなると、次は自分の番!と、
自分もプシュケが立った山頂に純白の衣装で立ち、
谷底へ落ちようとしました。

プシュケはもう一人の姉にも会い、そしてその姉も同じことをしました。

そんな欲深い2人を嫌った西風は
彼女たちをふわりと抱き上げることがなかったので
2人ともそのまま谷底に落ちて死んでしまいました。

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あちこちエロスを探し回っていたプシュケは
かつて2人で暮らした宮殿のような立派なお屋敷を見つけました。

もしかしたら、ここに夫がいるかもしれない…

そう思い、中に入ってみると、
誰もいなく、ただ乱雑に放り出してあった農機具があるだけでした。
プシュケはそれを綺麗に整理してあげました。

そこは、農耕の女神・デメテルの杜でした。
彼女の親切なココロに感謝したデメテルは、

どうしてエロスがプシュケの元に来るようになったかといういきさつを教え、
エロスの母・アフロディーテの所へ行って
プシュケの母達の過ちを許してもらうよう謝ってみては、と勧めるのでした。

エロスもね、あなたから受けた肩とココロの傷があまりに重く、
今はアフロディーテの宮殿で寝ずの看病を受けているようですよ
、とも。

だけど、同じ女神であるアフロディーテを裏切る訳にはいきません。
私はあなたを直接助けてあげることはできないのですよ。
ここに来た事は黙っておきます。 さぁ、おゆきなさい。

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プシュケはがっくりとうなだれます。


せっかく出会えた神様にも見放された…


プシュケは絶望を感じました。
ですが、プシュケは立ち上がります。


こんなことではだめよ! 
エロスの許しなんてもらえるはずがないわ!


ひたすらアフロディーテ様に許しを請おう。
自分の蒔いた種なんだもの。



そう思ったプシュケは、
アフロディーテの神殿に自ら赴くのでした。

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ようやく辿り着いたプシュケを迎える冷たい目。

プシュケの願いなどすっとこどっこい、
まだまだ怒りの冷めやらないアフロディーテは
そーーーんなこと許そうはずがありません。


もともと私はおまえ達の所業を許してはおらぬ。
それなのに
わ・わ・わたしの愛しい息子エロスのココロまで奪い、
その上自分からこのコを傷つけておいて、

んまぁぁぁぁ…
なんてっ ・ なぁぁぁあ〜〜〜んて 身の程知らずなのでしょうっ!!



ワナ ワナ ワナ ワナナナ…

目の前にまんまと現れたプシュケが憎いばかりに、
ただ殺すだけでは気がすまない、苦しみぬかせてやろうと
アフロディーテは彼女にいくつもの無理難題を押し付けるのでした。
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働き通しのプシュケはぼろぼろになってやせ衰え
かつての美貌はどこへやら、お肌もかさかさ、醜くなるばかりでした。
そんなプシュケに容赦なく

金に輝く羊の毛を取ってまいれ!

生命の水を汲んでまいれ!


どちらも険しい場所にあり、困難極まりない仕事でしたが、
エロスが陰からこっそりと助けてくれたため、
プシュケはその度に、なんとか無理難題を克服してこれました。


しかーし!
当然、当然、アフロディーテは面白くありません。

最後に女神は、
今度こそ達成できない難題を命じようと、一つの箱を手渡します。

さ〜あ、プシュケよ。
黄泉の国(冥界)に行って、
ペルセポネの美しさを少しだけ分けて貰ってまいれ!

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………!!

プシュケは今度こそ無理だと思いました。
生きているプシュケが死者の国に行くことなどできないからです。
いよいよ命はないものと覚悟しました。


エロス、やっぱり私達はもう逢うことができないのね…。

絶望したプシュケは

どうせ死ぬなら、ひと思いに死んでしまおう。
…そう思い、
高い塔によじ登り、遥か下の地面めがけて身を乗り出しました。

もう願いが叶えられないこの辛さから逃れたい、
黄泉の国へ赴くのにも、これが一番手っ取り早いわ!


すると、の中から声がして、プシュケに向かって言うのです。

だれ!?

プシュケは踏みとどまり、声の主を探します。
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愚かな娘よ。 
なぜ、死のうとするのだ?
諦めようとするのだ?

いつも、大きな神の助けを受けてきたおまえが、
最後の試練にあっさりくじけてしまうとは…。

今まで与えられてきたありがたみを
そうやって自らの弱さで踏みにじるとは何事か!


それからその声は、
黄泉の国への行き方を教えてくれました。

冥界への入り口、
生の世界と死の世界との間を流れる川の渡りかた、
地獄の門の番をしている、三つ頭のケルベロスのそばの通り抜け方、
冥界の食べ物を食べてはいけないということ…
こと細かに教えてくれたのです。

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そして最後に


プシュケ、これだけはどんなことがあっても守りなさい。

ペルセポネに渡された、美の入った箱の中を 
決して決して開けて見てはなりません。

よいな。 くれぐれも、であるぞ。



…と念を押されました。


わかりました。 
絶対に見ません。 ありがとう!


…そう言い残し、
プシュケは黄泉の国へと進んで行きました。
そして、とうとう、箱に美しさを詰めてもらって帰路につけたのです。

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良かったわぁ…
良かったわぁ…
よ… 


課せられた難題を無事果たし、帰路を急ぐプシュケは、
アフロディーテの神殿が近づくにつれ、
ふと、あれほど釘を刺されていた箱の中身が
気になりだしてしまいました。

この期に及んでまたしても、
プシュケは愚かなことをするのです。

命を捨てずに済んで嬉しかっただろうに、
あともうちょっとだろうに、

あんなに、あんなに注意された 『箱の中を覗いてはいけない』 が
欲に押されて…。


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今までの試練の数々で
すっかり過去の美しさを失い、
見る影もなくボロボロになってしまっていた哀れなプシュケ。


夫に会う時にこんな姿では、エロスの愛も失うのではないか…


不安に駆られたプシュケは、美しさを取り戻したい一心で
とうとう箱のふたを開けてしまいました。


ペルセポネ様の美しさがこの中に入ってる…
お願い、私にもほんの少しだけ…




その箱に入っていたのは、死者の国の美しさである『眠り』でした。
箱を開けてしまったプシュケは、その眠りにとりつかれ、
意識が薄れ、道端に倒れて死んだように眠ってしまったのです。

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その頃、やっと火傷の傷が癒えたエロスはプシュケを探しにきていました。
眠っているプシュケを見て、エロスはため息をつきました。

やれやれ、また約束を破ってしまったのか。
でもこれで

好奇心は身を滅ぼすことと、
約束を破ることの愚かさが、身にしみたことであろう。



エロスは金の矢の先でプシュケを突付いて起こし、
『眠り』を箱の中に戻してプシュケに手渡します。

エロスはプシュケを抱えると、

さ、早くその箱を母のところに届けるんだ!

エロスは翼を羽ばたかせ、
アフロディーテの神殿へと飛びたちます。

そして、その足でゼウスの元へ行き、
アフロディーテに許しを得られるよう、乞い願うのでした。
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31★




エロスのことを可愛がっていたゼウスは、
今までのプシュケの誠実さと頑張りもよーく見ていたので
彼らの切なる願いを受け入れ、
熱心にアフロディーテを説き伏せてくれたのでした。
こうして、やっと二人は晴れて正式の夫婦として結ばれたのです。


ゼウスはエロスの願いを叶えただけではなく、
プシュケに神酒ネクタルを与え不老不死とさせ、
神々の列にも加えたのでした。
神体となったプシュケの背中からは蝶のような美しい羽が生えました。

そして、神プシュケには、
『愛』 を支えるのは 見ることでも確かめることでもなく、
相手を信じる 『心』 だけ。
…そう恋人達に囁く役目を与えられました。


愛こそが 愛する人の心を見る 唯一つの術なのですよ。


…と。
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32★




エロス、心から愛しているわ。


後に、エロスとプシュケの間には

『喜び』

という名の女の子が生まれました・と・さ。   


おしまい(^-^)

* * * * * * *

ギリシャ神話上、

エロス(性愛)は主に肉体の愛。
それが プシュケ(精神・ココロ)と結ばれて、『喜び』 が生まれます。

ココロとカラダの両方の愛が成熟し満たされて、
初めて 『喜び』 は生まれるものなのでしょうね(^-^)

                                             fin